Creator`s file part1







本日から当ブログに新たなカテゴリーが追加されました。

"クリエイターズファイル"


作り手側の本音を語っていただき、記事にするという
ありふれたモノですが、
意外と知らなかった話(自分も含めて)もあるんではないか?っと。



果たして反響があるのかどうか未知数ですが、
記念すべき1回目の投稿は
マニフォールドの代表、宮本さん。










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グレーの字は私。

ブラックの字は宮本さん。







まずは前職のお話を。

だいたい何年くらい前の話になるんですか?




1986年代ごろくらいでしょうかね。




愛知県で?



そうです。



革製品全般を作る会社ですか?



いや、ベルトだけです。

まだカジュアルとか、夫人とか、ベビーとか。
そんな時代です。


なるほど。



まだカジュアルっていうもんが.....まだジーパンが認められる前じゃないですか。


でジーパンが流行り出して、リーバイスの501っていうのが
流行って、ジーパンに合わしたカジュアルっていうので
1枚革のヌメ革のベルトっていうのを初めて作った会社でした。


その当時結構売れとったんすか?



めちゃめちゃ売れてましたね。




そこ何年くらいおられたんですか?



10年半。


で、スパッと辞めて独立と?


いや、2年間遊んだんすよ。




ウホホホ、なるほど。







車屋行ったり、コンピューターの飛び込み営業やったり、
まぁ半年ずつくらい。

で1年半くらい遊んでました。




自分でやりたいみたいな気持ちはあったんですか?



30歳までに独立してみようって話で、

宣言はしたものの、人間追い込まれないと.....





まぁ、それは分かりますね。







迷いがありながら、やるって宣言して.........友達にも。

で、300万の軍資金持って、半年で使い切って。


こりゃいかんってことで、
スタート(MANIFOLDを)。


えぇ〜。











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工房内の様子。

製作工程のほぼ全てが自分たちの手で行われている。







当初のラインナップとしては?



財布が2型と、レンジャーベルトが2型がスタート。


そのあとにメディスンバッグっていうのがあって。

それで名が知れたと言うか。






バイカーの人達から火がついて?




基本ハーレー乗りですね。

独立したのはモーターサイクルデン(山梨県のハーレーカスタムショップ)との出会いがあって。

そこでハーレーのカスタムってどういうモノなのか、
そこでは商売とは違う生き方もあるだよっていうのを
みせてもらって.......

で、ちょっとはまっちゃたんですね。

会社ではどうしても売り上げの為なんだけど。


独立した理由も
こういう物を作ったらどうなんだろう?
っていうのは会社にいたら出来ないことなんすよ。


会社にいるときもそれはやらしてもらったんだけど、
そこもちょっとこう、一杯一杯になってきて.......うん。



で、そっちやめろって話になって。



でもそっちでいきたいんだけどって話で........

辞めますと。


ただもう辞めるときに年間売り上げが5億から15億になるって、半年後に。
会社としてはこれからって時なんだけど。


まぁそっからしばらくは
シルバー、ビーズ、ベルト、お財布
フルアイテム、今でいうとこの。

特にやること無くなったなぁって。
今の会社では。






僕多分マニフォールドやり出したんって
2007年とか、それくらいやったと思うんですよね。

あの時ってラインナップは揃ってましたよね?




そうですね。
一応1999年から始まって。
まぁ俺自身が世紀末だったんですよ、
金も無いし。



はっはは。
うっへへー。



ヤバイ、追い込まれたっていう。

まぁ失敗しても世紀末のせいにすればいいやって。

でも結局何も起こらなかったですよね。

2000年問題あったのに。コンピューターが暴走するとか。

もう、こんなチャンスないやって。



ここで端折りに端折って。

近年の話で、定番の商品辞めますって、
あの話。


そこに何か気持ちの変化っていうか?




市場も、お店も、材料メーカーも何もかも
熟したと思いません?




まぁ、それは...........あると思いますね、確かに。




で、その熟しきったものって腐っていくだけなんすよ。

それをまた新鮮にっていうっていうと
時間も何もかもかかるのと、

あとは自分たちで積み上げてきたものを
壊さないとダメなんすよ。

もうヌメ革っていう.....まぁ革は無くならないと思うんすけど
本物のヌメは無くなる可能性があるんですよ、非効率なんで。



皆がコードバンはクローズアップしてるのに馬ヌメは
クローズアップしてなかったので、
たまたまあのアメリカでも出会いもあって。
(アメリカに釣りに行った際に新喜皮革のお偉い方と偶然仲良くなるっていうエピソードがありますが省略)


みんながヌメ、ヌメ言って
海外の革も、まぁヌメって言ってもドラム鞣しなんですよ。

やっぱり日本にも技術的なものは集まってきてて
効率の悪いピット鞣しなんかダメだって
イタリアから言われてて.......。

"これからはドラム鞣しだ"って
何年間か取り組んだんですよ。

良いものは........出来てないですね。


イタリアの技術も超えられてないし、
イタリアはやっぱりその、昔からの歴史があって
吟面の付きとか、中の状態とか....
やっぱいいんですよ。

そこには追いつけてなくて。

見た目では追いつけてるけど、中身では追いつけてないっていうのが
現状になります。



なるほどですねぇ。



結局日本のタンナーさんには人が集まらなくて
不法就労で1週間とか、そんなんですよ。

そこを良いイメージで持っていかないといけないので。

ピット鞣しとか人の手もかかって、吟味しないといけない。

そういう世界がどんどん無くなって、効率に走っていく中で、
でもまだ残っている。



日本にタンナーさんって300社あるんですよ。



えーそうなんや。


そんな無いと思ってたでしょ?


何十社くらいだと思いますよね。


その中でもピット鞣し、要するにヌメを作っているところは
数少なくなっていて。


まぁでもいる?牛革?

牛革の財布とか?




正直僕は革の種類でどうのっていうのはあんまり分からないですね。




革屋だからうちはそこが拘れる部分があるし、とどまらないといけないんだけど、
もうお客さんにはそうでなくていいんですよ。


変わらないといけないんすけど、変わったら裏切るし、
でも変わらないと腐っていくだけじゃないですか。

そこはもうずっと....何年前だろうな。

もう4、5年突き付けられてました。

だからもうやめることを先に宣言して

新しいベースを構築するのに半年は最低でもかかってくるかな。










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今後の新しいラインナップなるであろうサンプル。

何度もミリ単位の修正をし、製品化されていく。












なるほど。
で、こう、今回ババーっと新しく一新されて、
満足感はあるんですか?



まだないんです、達成感もない。


結局、素材を目の前にして、一発目のサンプルで
作ってみたけど、まだダメっていう。

今やっと良い状態になってきて
猛烈に作りたいモードになってて。


ただお財布とか.......紙幣が無くなってくるんですよ。(キャッシュレス化によって)
まぁ要らない物を作っているわけで。


全部なくなるかっていうとそうでもなくて
生き残っていくのか、淘汰されて無くっていくのかっていう中に、
まぁ生き残れたらいいなぁっていうのはあるし。


あと10年しかやれないって考えたら
別に何か大事にしておくものって無いから。

やれることを全部やってみてもいいのかなって。


馬ヌメっていうと、シャツとかにも使われてるし、
革ジャケットにも使われてるじゃないですか。

そこらへんで袋物もやっていいのかなって、
カバンも展開してもいいのかなぁと。


日本においてはですが.....
タンナーさんが染色したり、仕上げするとあんまりよろしく無いんですよ、
牛の場合は。

でも新喜さんは、すーっごいっす。
最後の仕上げまで凄いっす。

目の前で言ったことを
目の前でみせてくれて、その通りになるんです。

だから何回も足を運んでるのは
行ったら、行っただけ答えが出せる会社で。

鞣しから最終的な仕上げまでね、
馬ヌメからコードバンも。

ヌメもクロムもコンビも全部出来る仕組みがあるから、
本当に凄いところですよ。


フェラーリ1台買えてしまう何千万の仕上げの機械を入れてたりとか。



ホェー。


今後としては馬ヌメの可能性を?



そうですね、馬ヌメですね。


みんなに理解してもらわないと、お客さんの声がないと
市場も変わらないし、作り手も変わらないと思うんですよ。

ブームってみんなが真似し合うからブームになるって話で......


当時僕ら、ヌメのお財布もなかったじゃないですか、牛も。


1995年なんですよ、その1年前に企画に上がってきて.....

ヌメ革製品が存在しない時代から今に至るので。


そう考えると1995年からってなると?


ええーと24年ですね。


でやっと終焉を迎えるみたいな、ヌメが。
あと5年くらいで終わっていくでしょう。

『ヌメの財布まだ持ってるんだ』って言われますよ。





よく持った方だと思うし、
ハーレー乗りとか、アメカジってカテゴリーがちゃんと作られてきて
その層が大きかったから育ったっていう話で。

もうおっきく育つとかも無いんだろうなって。


ううーん、そうっすね、確かに。




メーカーはもう大きくなれないんだろうなぁって。







製造〜小売の流れがここ数年に劇的に変化している、というより
変化せざるをを得ないという現状は僕も肌で感じます。

 道なき道を行く今後の展開を、個人的には注視したいです。

突然のアポなしインタビューありがとうございました。




こちらこそ〜。










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完成形の新製品。


馬のプロポーションを馬革で表現したという
異形のウォレット。







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ウォレットチェーンを装着するためのパーツの原型。

上記は宮本氏自ら削り出した木型。





間も無く新ラインナップのお財布たちが
お披露目されるようです。










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by grandguignoljapan | 2019-10-13 19:11 | Creator`s file | Comments(0)